
子どもの手足口病|症状・原因・治療・受診・登園を小児科医が解説
「手や足に赤いぶつぶつが出てきた」
「口の中が痛そうで、ごはんを食べない」
「保育園で手足口病が流行しているけれど、うちの子もそう?」
そんなとき、おかあさん、おとうさんは心配になりますよね。
手足口病は、乳幼児を中心にみられるウイルス感染症です。
口の中や手のひら、足の裏などに水疱を伴う発疹が出ることが特徴です。
多くのお子さんは軽症で自然に回復しますが、口の痛みで水分がとりにくくなり、脱水につながることがあります。
まずは、手足口病がどのような病気なのかを知っておきましょう。
手足口病とは?
手足口病とは、エンテロウイルスというウイルスの仲間によって起こる感染症です。
名前のとおり、
- 口の中
- 手のひら
- 足の裏
- 足の甲
などに小さな水疱や発疹が現れます。
おしりや脚、腕などに発疹がみられることもあります。
特に乳幼児に多く、日本では主に夏に流行します。厚生労働省によると、報告される患者の約半数を2歳以下が占めています。
ただし、小学生や大人が感染することもあります。
手足口病の原因は?
主な原因ウイルスは、
- コクサッキーウイルスA16
- コクサッキーウイルスA10
- コクサッキーウイルスA6
- エンテロウイルス71
などです。
原因となるウイルスは1種類ではありません。
そのため、一度手足口病になったお子さんでも、別の種類のウイルスによって再び手足口病になることがあります。
手足口病はどうやってうつる?
主な感染経路は3つあります。

保育園や幼稚園では、子ども同士の距離が近く、おもちゃなどを共有する機会も多いため、感染が広がることがあります。
手足口病はいつまでうつる?
症状がよくなったあとも、しばらくウイルスが排出されることがあります。
日本小児科学会では、ウイルスは、
- 咳や鼻汁から 1〜2週間
- 便から 数週間〜数か月
排出されることがあるとされています。
そのため、熱や発疹がよくなったからといって、すぐにウイルスが完全にいなくなるわけではありません。
一方で、ウイルスの排出期間が長いため、感染を完全に防ぐ目的で何週間も登園を控えることは現実的ではありません。
症状が改善したあとも、特に排便後やおむつ交換後の手洗いを続けることが大切です。
潜伏期間はどのくらい?
潜伏期間は、おおむね3〜6日です。
潜伏期間とは、ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間です。
厚生労働省では3〜5日、日本小児科学会では3〜6日とされています。
資料によってわずかな幅があるため、この記事では「3〜6日程度」としています。
手足口病ではどんな症状が出る?
主な症状は次のとおりです。

発熱は必ずみられるわけではありません。
日本小児科学会では、発熱はあまり高くならないことが多く、通常1〜3日で解熱するとされています。
厚生労働省でも38℃以下のことが多いとされています。
口の中の痛みに注意しましょう
手足口病では、口やのどに水疱や潰瘍ができ、痛みを伴うことがあります。
小さなお子さんは「口が痛い」とうまく伝えられないため、
- 飲み物を嫌がる
- 食べなくなる
- よだれが増える
- いつもより不機嫌になる
といった変化で気づくことがあります。
このときは食事量だけでなく、水分を飲めているか、おしっこが出ているか、元気があるかを確認することが大切です。
手足口病はどのくらいで治る?
多くの場合、3〜7日程度で自然に回復します。
発疹が完全に目立たなくなるまでの期間には個人差があります。
また、コクサッキーウイルスA6による手足口病では、発疹が広い範囲にみられたり、回復後しばらくして爪がはがれるような変化がみられたりすることがあります。
手足口病はどうやって診断する?
多くの場合、症状と発疹の特徴から診断します。
診察では、
- 発疹が出ている場所
- 発疹や水疱の形
- 口の中の状態
- 発熱の経過
- 全身状態
- 周囲での流行状況
などを確認します。
典型的な手足口病では、毎回血液検査やウイルス検査を行う必要はありません。
症状が典型的ではない場合や、重い合併症が疑われる場合などには、必要に応じて追加の検査が検討されます。
手足口病と似ている病気は?
口の中や皮膚に発疹が出る病気は、手足口病だけではありません。
たとえば、
- ヘルパンギーナ
- 水痘(水ぼうそう)
- ヘルペス性歯肉口内炎
- アフタ性口内炎
- その他のウイルス性発疹症
などとの区別が必要になることがあります。
「手足口病なのか分からない」
「発疹の広がり方が気になる」
「いつもと様子が違う」
という場合には、自己判断せず小児科へ相談しましょう。
手足口病の治療は?
手足口病の原因ウイルスを直接治す特効薬はありません。
治療の中心は対症療法です。
対症療法とは、原因ウイルスそのものを退治するのではなく、発熱や痛みなどのつらい症状を和らげながら回復を待つ治療です。
主に、
- 水分補給
- 十分な休養
- 必要に応じた解熱鎮痛薬
などで対応します。
手足口病はウイルス感染症であるため、抗菌薬は通常必要ありません。
口が痛くて食べられないときは?
無理に食事を食べさせる必要はありません。
まずは水分をとることを優先します。
一度にたくさん飲むのが難しければ、少量ずつ、こまめに飲ませましょう。
食べられそうな場合は、
- やわらかいもの
- のどごしのよいもの
- 味の刺激が少ないもの
など、お子さんが痛がらずに食べられるものを選びましょう。
冷たいものを好むお子さんもいます。
熱いものや、酸味・塩味などが強いものは、口の中にしみることがあります。
小児科を受診したほうがよい目安
多くの手足口病は自然に回復します。
ただし、次のような場合は小児科へ相談しましょう。
- 水分をほとんど飲めない
- おしっこの回数や量が明らかに減っている
- ぐったりしている
- 口の痛みが強く、水分がとりにくい
- 発熱が3日以上続いている
- 一度よくなったあとに再び状態が悪くなった
- 症状がなかなか改善しない
手足口病では、体温の数字だけで重症度を判断することはできません。
水分摂取、尿量、元気さ、顔色など、全身状態を見ることが大切です。
すぐに医療機関へ相談したほうがよい症状
手足口病の多くは軽症ですが、まれに髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症を起こすことがあります。
まれな重症例では、中枢神経系の合併症のほか、神経原性肺水腫や心肺機能不全などが報告されています。
次のような症状がある場合は、速やかな受診を検討してください。
- 意識がぼんやりしている
- 呼びかけへの反応がおかしい
- けいれん
- 強い頭痛
- 嘔吐を繰り返す
- 呼吸が苦しそう
- 顔色が著しく悪い
- ぐったりして起きられない
意識障害、けいれん、呼吸困難などがある場合は、夜間や休日でも救急医療機関への相談・受診を検討します。
保育園や幼稚園はいつから行ける?
発疹がすべて消えるまで休まなければならない病気ではありません。
日本小児科学会では、
- 全身状態が安定している
- 発熱がない
- 口の中の水疱・潰瘍の影響がない
- 普段どおり食事がとれる
場合は登園・登校できるとしています。

発疹が残っていることだけを理由に登園を控える必要は通常ありません。
登園許可証や登園届は必要ですか?
手足口病では、全国一律に医師の意見書が必要と決められているわけではありません。
こども家庭庁の保育所における感染症対策ガイドラインでは、手足口病は、医師の診断を受けたうえで保護者が登園届を記入することが考えられる感染症として扱われています。
ただし、登園届の運用は全国一律ではありません。
実際の対応は園によって異なるため、通っている保育園・幼稚園へ確認してください。
手足口病を予防する方法は?
完全に感染を防ぐことは難しいですが、基本的な感染対策が大切です。
主な予防方法は、
- 石けんと流水で手を洗う
- 排便後に手を洗う
- おむつ交換後に手を洗う
- タオルを共有しない
- 排泄物を適切に処理する
- せきやくしゃみへの対策をする
ことです。
症状が治ったあとも便などからウイルスが排出されることがあるため、回復後も手洗いを続けましょう。
なお、2026年9月時点で、日本国内で使用できる手足口病のワクチンや特異的な予防薬はありません。
よくある質問
Q. 手足口病には何度もかかりますか?
A. はい。何度かかかることがあります。
原因となるウイルスが複数あるため、一度感染したあとでも、別の種類のウイルスによって再び手足口病になることがあります。
Q. 大人にも手足口病はうつりますか?
A. はい。大人も感染することがあります。
手洗いやタオルを共有しないなど、家庭内でも基本的な感染対策を行いましょう。
Q. 兄弟にも感染しますか?
A. 感染する可能性があります。
特に小さなお子さん同士では、唾液や手、おもちゃ、便などを介して感染することがあります。
家庭でも排便後やおむつ交換後の手洗いを丁寧に行いましょう。
Q. お風呂に入ってもよいですか?
A. 発熱がなく、元気があり、入浴が負担にならない状態であれば、通常は入浴を控える必要はありません。
水疱を強くこすらず、タオルの共用は避けましょう。
Q. 解熱剤を使ってもよいですか?
A. 発熱や痛みがつらい場合には、必要に応じて解熱鎮痛薬を使用することがあります。
ただし、市販薬は年齢や体重によって使用できる成分や量が異なります。自己判断で使用せず、医師や薬剤師に確認してください。
横浜市・みなとみらいで子どもの手足口病が心配な方へ
みなとみらい小児科クリニックでは、乳児・幼児・学童期のお子さんの手足口病を診療しています。
「手や足に発疹が出てきた」
「口の中が痛そう」
「水分がとれているか心配」
「手足口病なのか、ほかの発疹なのか分からない」
「保育園に行ってよいか知りたい」
といったご相談にも対応しています。
診察では発疹だけでなく、
- 発熱の経過
- 食事や水分の摂取状況
- おしっこの回数
- 元気の有無
- 口の中の状態
- 嘔吐や頭痛などの症状の有無
などを確認し、お子さんの全身状態を評価します。
お子さんの症状で「受診したほうがよいのかな?」と迷ったときも、ご相談ください。
一般診療について
みなとみらい小児科クリニックでは、手足口病をはじめ、発熱、咳・鼻水、嘔吐、下痢、腹痛、発疹・湿疹など、子どもによくみられる病気や症状について一般小児科診療を行っています。
診療内容、受診の目安、診察で確認することなどは、一般診療の総合案内でもご紹介しています。
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参考資料
- 厚生労働省「手足口病」
- 日本小児科学会「手足口病」
- 日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「手足口病」
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「感染症発生動向調査 手足口病・ヘルパンギーナ」
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」
- 横浜市「手足口病」
- 横浜市感染症情報センター
公開日:2026年6月29日
最終更新日:2026年10月10日
監修:みなとみらい小児科クリニック 院長
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